google.com, pub-6886053222946157, DIRECT, f08c47fec0942fa0 日本各地の美しい風土を巡ります。: 新・日本紀行(49)羽幌 「天売島と海鳥」

2012年8月7日火曜日

新・日本紀行(49)羽幌 「天売島と海鳥」


ウミガラス(オロロン鳥) 資料

スタイルがペンギンによく似ている麗しき海鳥。
ウミガラスの鳴き声は「ウォルルン オロロロ・・・」と鳴き、その鳴き声が「オロロン」と聞こえたところから、「オロロン鳥」と呼ばれている。
絶滅危惧 1A 類(ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種)に指定されている。
現在、日本では天売島だけで繁殖しているが、2004年、2005年と2年連続で繁殖数が0羽となった。
この優雅な「海鳥」は最早、日本国内では見られないかもしれない・・!!。




 新・日本紀行(49)羽幌 「天売島と海鳥」 


小平の「ニシン番屋」の道の駅に沿って海岸を一直線に延びる海道を、別名「日本海オロロンライン」とも言う。

小樽より国道231、国道232・サロベツ原野を経て稚内を結ぶ、日本海広域観光ルートであるが名称の由来は、あの「オロロン鳥」に由来する。


羽幌町に到った。 

後に、この町の海岸沿いにあるホテル・「サンセットプラザはぼろ」に泊まった折、洋上に焼尻島や天売島が望まれた。 
日本で唯一の繁殖地といわれるオロロン鳥(海ガラス)がいるのは、この「天売島」(てうりとう)である。 
その天売島へは、この先、羽幌の港より凡そ一時間の距離であるが。


天売島は人間と海鳥の「共生の島」といわれる・・!!。 

周囲約12kmの小島で、羽幌から約27km沖合の日本海に浮かぶ。
北海道本島に面した東海岸に400人近くが住み、高さ100m以上の断崖が続く西海岸には、八種類百万羽近くの海鳥が3月から8月にかけて、繁殖のために訪れるという。

天売島に初めて倭人が住みついたのは江戸時代で、ニシンなどの豊富な資源に目をつけてだといわれるが、それまで天売島は、ほとんど人間が住み着かない「海鳥の楽園」だったに違いないと。
以来、200年にわたって人間が定住し、海鳥との共生が続いているという。 


この規模の島で、これだけ多くの海鳥が繁殖し、しかも、人間が生活を営んでいる地域である例は世界的にあまりなく、その意味で貴重な「共生の島」であるといわれる。 

島は、周囲約12km.で砂浜はまったくなく、石と岩場の海岸で最高点184m.の西海岸付近が海鳥などの繁殖地である。 
鳥類は、島の北西海岸で断崖が続き、ウミガラス(オロロン鳥)やウミウ、オオセグロカモメなどの海鳥が棲息する。

島民の生活基盤は漁業、観光で年間約3万人近くが訪れるということで、羽幌町からフェリーと高速船が出ている、ただし、高速船は6~8月のみとのこと。
 

ところで、近年になって人間と海鳥の「共生の島」も人間による様々な影響で海鳥に「変化」が現れているという。

先ず、1960年代から70年代にかけて島周辺で盛んに行われた「サケ・マス流し網」漁業による混獲で、夥しい数の潜水の名選手であるオロロン鳥が犠牲になったという。 
もう一つは天敵のカモメや、島民・観光客が出すゴミに集まる海ガラスならぬカラスが増え、繁殖群が縮小され集団防衛できなくなったオロロン鳥は、卵や雛を捕食されやすくなったことなど。 

又、オロロン鳥のみならず、ケイマフリ、ヒメウ、ウミネコなども減少し、海鳥の繁殖地と漁場が同じなので、延縄漁の仕掛けや、他の漁具で犠牲になっていることもあるという。 
又、人為的なものもあって、プラスチック類の投棄、ゴミ類での汚染など、観光客によるマナーの悪さも挙げられるという。


一方、世界各地の海鳥生息地では、一般的に古来よりの変動減少は余り見られないという。 
日本では天敵の害よりも人為的によってオロロン鳥や他の海鳥の捕食食糧になる魚類を乱獲し減少させ、絶滅に追いやったともいわれる。

1938年(昭和13年)、天売島が海鳥繁殖地として、国の天然記念物に指定された頃は、オロロン鳥は40,000羽いたという。 
1956年(昭和31年)以降はニシンは凶漁で、それ以後ニシン漁業は消滅するが、同時にオロロン鳥は合わせるように激減し、1980年(昭和55年)頃には553羽、そして遂に平成16年には観察史上初のオロロン鳥繁殖数は0羽になったという。 

更にオロロン鳥に合わせるようにウミネコの繁殖も0羽となったという。


人の勝手で飼い猫を捨て、そのネコが野良猫化して海鳥を襲っている。 
又、海鳥の繁殖地で漁業を営み、魚を減らして海鳥を餓死させ、また、漁網による混獲の犠牲になっているという。 
捨てたゴミに集まるカラスが、野鳥の卵やヒナを奪う。

それらは全て自然現象ではなく、人の生活の都合によって生じた人的行為の自然破壊であり、生態系の破壊を起こしているといわれる。
人と自然とが調和のとれた共生・共栄をしなければ、やがて「共生の島」どころか「天売島から海鳥が完全に消える日」が訪れるという。
過去、北海道ではニシン漁の乱獲によって「ニシン」の姿を消したともいわれる。


「天売島」に人類が住み始めるのは、実は縄文期の紀元前5000年頃ともいわれる。
海鳥繁殖地・天売島が国の天然記念物として指定された時期は、オロロン鳥が40,000羽もいて、それが1938年頃であった。 

その後平成の年代になって、オロロン鳥が数十羽飛来確認するも、2004年の頃になって、観察史上初の繁殖数が0羽となった。 
つまり、7000年の間、人とオロロン鳥は共生してきたが、僅か70年足らずで人類は、あの麗しきオロロン鳥を「見事に」滅ぼしたのである。

又、1986年頃にはウミネコは60,000羽いたが、2000年には半減し30,000羽に、更に、2005年にはオロロン鳥の繁殖が2年連続ゼロになったと同時に、ウミネコの繁殖も絶滅となったという。 
ウミネコは、僅か20年で絶滅した事になる・・!!。

海鳥や他の生物が豊かなときはニシンも豊漁だったが、しかし、魚もすめない場所では海鳥も海獣も人も生活できない。 
野生生物と共生・共栄できるように、いま人間活動・漁法の改善を真剣に考えなければならず、今日、野生生物に起きた悲劇は、明日は人々に降りかかってくることは確実であると。 
そのことを「天売島」は教えているのである。 
 

日本海沿岸を貫く海道を、別名「日本海オロロンライン」とも言うが、今は何かその名が実に虚しい。
その為かどうか・・?、最近では、この海岸国道をオロロンラインとは言わず、「天売海道」と称しているようだ・・??。


次回は、「遠別




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